2026年4月2日の東京株式市場は、朝方の上昇を維持できず、後場にかけて売り圧力が強まる展開となりました。日経平均は前営業日比1,276.41円安の52,463.27円で取引を終え、TOPIXも1.61%安の3,611.67ポイントまで下落しました。結論から言えば、この日の日本株は「反発」ではなく、中東情勢の長期化懸念と原油高を嫌気したリスク回避の一日でした。
朝の段階では、日経平均は前営業日比327円高で始まり、一時は518円高まで上昇しました。ところが、日本時間午前10時ごろに始まったトランプ米大統領の演説を境に市場の空気が変わります。市場が期待していたのは、戦争終結や停戦協議に向かう明確なメッセージでした。しかし実際には、攻撃継続を示唆する内容が意識され、中東情勢の早期収束期待が後退しました。これを受けて買いは急速にしぼみ、日経平均はマイナス圏へ沈みました。
相場をさらに重くしたのが原油先物の急反発です。ロイター報道では、日本時間の時間外取引で米WTI先物は104ドル台まで上昇しました。日本のようなエネルギー輸入国にとって、原油高はまず企業収益の圧迫要因として意識されやすく、航空、化学、輸送、小売のようなコスト感応度の高い業種に逆風となります。市場では「景気の強さを映した原油高」ではなく、供給不安を伴う悪い原油高として受け止められた色合いが濃かったとみられます。
為替市場では、ドル円が158円台後半で推移し、円安基調そのものは輸出株に一定の支えとなりました。ただ、この日の株式市場では円安の追い風よりも、原油高と地政学リスクの悪影響が上回ったと見るのが自然です。円安は自動車や機械などの外需株にはプラスですが、同時に輸入物価の上昇圧力を通じて日本経済全体には重荷にもなります。市場はこの日、円安を好感するよりも、エネルギー価格上昇と景気不透明感の組み合わせを警戒しました。
金利面でも安心感は乏しい状況でした。日本では長期金利の上昇圧力が意識され、4月発行の10年国債表面利率が2.4%に引き上げられたことも、金利環境の変化を印象づけています。株式市場では、金利上昇は高PER銘柄や成長株のバリュエーションに逆風となりやすく、原油高や地政学リスクと重なると、投資家はより防御的になりやすい局面です。
市場の広がりを見ても、この日の地合いの弱さは明確でした。東証プライム市場では値上がり319銘柄に対し、値下がりは1,224銘柄と、売りが全体に広がりました。個別では、ソフトバンクグループ、アドバンテスト、TDK、村田製作所、フジクラなど主力株の下げが目立ちました。指数寄与度の高い銘柄が売られたことで、日経平均の下落がより大きくなった格好です。
今回の相場で重要なのは、単に「地政学リスクで下がった」と片づけないことです。市場はすでに高いボラティリティの中にあり、そこへ原油高、円安、金利上昇、企業ガイダンス不安が同時に重なっています。つまり、単発の悪材料というより、複数の不安要因が同時進行で株式の上値を抑えている状態です。特に4月以降は企業決算シーズンが本格化するため、慎重な業績見通しが増えれば、株価の調整がさらに長引く可能性もあります。
したがって、4月2日の日本株を「押し目をこなしながら反発した日」と整理するのは適切ではありません。実際には、朝高後に失速し、リスク回避が全面化した大幅反落の日でした。円安だけで日本株全体を支えるには材料不足であり、当面は原油価格の動き、中東情勢の進展、企業業績見通しの3点が、相場の方向を左右する可能性が高いと考えられます。